「Web メルカトル(ウェブメルカトル)」の由来と真相

投稿日:2016/2/17 (水) 更新日:

異なる回転楕円体をどうやってあわせるのか

では Googleマップに正しい位置関係で重ね合わせをするにはどうすればよいか、これも GIS に携わっていたら「測地系の変換」(ArcGIS でいう「地理座標系変換」)を行えばよいと分かります。人口分類だとか津波被害想定だとかライン、ポリゴン、その他諸々作成した地図を重ねたいプロフェッショナルの人にとっては混乱の元となりました。

ただ、Googleマップでプッシュピンを指した地点を示す座標は WGS84 で間違いないです。これは、投影した地図上に計算によって WGS84 の緯度経度を落としているだけで、地図の測地系は WGS84 ではないのです。

ArcGIS 9.2 当時では、上記の FAQ で示されているように「地理座標系変換」を行ってうまく重ね合わせする、という方法しかありませんでした。

回転楕円体が違う、つまり測地系が違うのだから当然なのですが、これだと普通の GIS ユーザーが持っているデータをすべて地理座標系変換する必要があります。場合によっては JGD2000 ←→ WGS84 の変換に加えて WGS84 ←→ Googleマップの測地系変換もしなくてはならないのです。これは面倒です。

そこで、Esri は考えました。

2008 年 6 月にリリース(米国)された ArcGIS 9.3 では「Auxiliary_Sphere」という投影法をサポートします。これは、

投影法の力で回転楕円体の半径サイズを変更する

というものです。つまり投影法で測地系を変換するのです。

「えーー!!」と思ったのは自分だけだったのか、周りで騒ぎになることはありませんでした。

ArcMap では、異なる地理座標系(=測地系)のデータを重ね合わせしようとすると「地理座標系変換」を促してきます。

地理座標系に関する警告

地理座標系に関する警告

これが自然な姿ですが「Auxiliary_Sphere」という投影法を使って、測地系自体は WGS84 を使いつつ投影法の力で Googleマップ仕様の回転楕円体に変換することができるようになったのです。地理座標系変換は必要ありません。Googleマップ由来のタイル仕様で作られた ArcGIS Online のベースマップを追加しても地理座標系変換が表示されないのは、あくまでも投影座標系の測地系が WGS84 だからです。

たしかに「座標系」は GIS を始めると最初に出てくる鬼門です。測地系の変換を理解するには結構な練度が必要です。だからといって投影法の力で測地系を変えるなんてことをしたら、座標系を説明するのがまたややこしくなる、、、そう思ってしまいました。むしろ知らないまま方が幸せのままでいられるかもしれません。いやいや、我々職業 GIS の立場だといずれ知らないと困る日が来るはずです。

ちなみに、他のソフトだとどうなのか気になったので QGIS 2.12.3 で確認してみました。QGIS で WKID:3857 は "Pseudo Mercator" という名称のようです。空間参照のパラメーターを見ると、普通のメルカトル図法で、回転楕円体が球体となっていました。

QGIS の空間参照パラメーター

QGIS の空間参照パラメーター

QGIS のリアルタイム投影変換できるのかも気になったので試したところ、Mercator(54004) と WebMerctor(3864) は正しい位置関係で重なっていました。QGIS はデフォルトでオンザフライ変換が有効になっているためで、"オンザフライCRS変換を有効にする" のチェックを外すとずれます。QGIS は "オンザフライ~" を無効化すると地理座標系、投影座標系にかかわらず同一座標で重ね合わせしかしないようですね。

そして Web メルカトルの由来につながります。

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  • この記事を書いた人

羽田 康祐

伊達と酔狂でエクストリーム スポーツに挑む GIS エンジニア。 GIS、IT、趣味に関して日々の出来事で学んだ記憶を記録するためにブログを書いています。同じ問題に出会った方の参考になっていただければ幸いです。GIS を使った自己紹介はこちら

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