「Webメルカトル(ウェブメルカトル)」の由来と真相

ここ数年でWebマップが流行っていることから「Webメルカトル」という言葉をよく聞くようになりました。今日は前回予告した大題に挑んでみます。

目次

メルカトルとは

「Webメルカトル」に入る前に「メルカトル」について説明しておきます。「メルカトル」は「メルカトル図法」という投影法を作った人の名前です。

「地図投影法」とは丸い地球をいかに平ら(地図)に表現するかという方法です。メルカトル図法には正しい角度が表現できるけど距離や面積は正しくないという特性があります。今日のテーマの根底にあるGoogleマップに採用されたので誰でも一度は見たことがある投影法となりました。

メルカトル図法については別の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。

Webメルカトル

「メルカトル図法」が「Webメルカトル」になると何が違うのでしょうか。インターネットで検索された上位のサイトを掲載日の古い順に紹介します。

上記のサイトでは、メルカトル図法を使用して南北85度以内で表現すると、ちょうど地図が正方形となりタイルの形状がシンプルになる、それが Webメルカトルという説明として認識できます。タイルの定義についてはこちらを見てみてください。

そこから転じて、ArcGIS を操作していると座標系(「座標参照系」と書くのが厳密ですが、ここでは座標参照系=座標系という意味で説明します)の選択肢に「Webメルカトル」と描かれているので、 「Webメルカトル」は「座標系の定義も含んだ)タイルマップの定義」として認知されているように見受けられます。しかし、インターネットでは括弧で示した「座標系の定義」に触れた解説はほとんど見つけられませんでした。

ここで疑問に思うのが、座標系にタイルの定義が含まれているのだとすると、平面直角座標系や UTM座標系は何のタイルが定義されているのか?ということです。Webメルカトル座標系の定義にタイルの情報が含まれているのであれば、平面直角座標系や UTM座標系にも何かしらのタイルの設定情報があるのかと考えてしまいますが、他の座標系にタイルの定義なんてありません。Webメルカトル座標系だけ特別にタイルの定義情報が含まれているのでしょうか。

また、「Webメルカトル図法」と説明されている記事もありますが、Webメルカトルは地図投影法の名前でもありません。

先に要点をまとめると、

  • Webメルカトルは、「座標系(座標参照系)」の名称である
  • Webメルカトルは、地図投影法の名前ではない

ということです。

また懐かしい歴史の振り返りと共に解説します。

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この記事を書いた人

伊達と酔狂のGISエンジニア。GIS上級技術者、Esri認定インストラクター、CompTIA CTT+ Classroom Trainer、潜水士、PADIダイブマスター、四アマ。WordPress は 2.1 からのユーザーで歴だけは長い。
代表著書『"地図リテラシー入門―地図の正しい読み方・描き方がわかる
GIS を使った自己紹介はこちら。ESRIジャパン(株)所属、2021年度~2023年度まで青山学院大学非常勤講師も兼務。日本地図学会常任委員。好きな地図投影法はパース・クインカンシャル図法とマクブライド・トーマス平極四次曲線図法。発言は個人の見解です。

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