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正しいシェープファイルの表記

2012/1/25 (水)

ずっと前から気になってたのですが、

市販の書籍や 企業含めた Web サイト、各ベンダーの製品マニュアルなどに記載されている、

  • Shape ファイル
  • ShapeFile
  • Shape形式
  • シェイプファイル
  • シェイプ形式
  • SHAPEFILE

などの用語、これすべて間違った名称です。

Esri の定めたフォーマットという固有名詞なので、

  • 英名:Shapefile, shapefile(文書内ではキャメルケースにしない場合もある)
  • 邦名:シェープファイル

と記載するのが正式な名称です。

多くの人はシェープファイルの”ファイル”が一般名詞と認識されている感がありますが、”シェープファイル”ということではじめてフォーマットの固有名詞を示します。

この記事を見た皆さんはこれから正しい用語を使っていきましょう。

詳しい説明はESRIジャパンのサイトにも書かれています。シェープファイルについて

Shapefileシェープファイルの詳しい仕様は Wikipedia などで調べてみてください。

2025年2月8日追記:シェープファイルにまつわる誤解

もう一つ、多くの人がシェープファイルについて誤解されていることがあります。それは、シェープファイルはArcGISのネイティブなフォーマットではないことです。ArcView GISでは、たしかにネイティブなフォーマットでしたが、1999年に登場したArcMapでは、ジオデータベースがネイティブなフォーマットであり、シェープファイルは直接読み書きできるエクスターナルなフォーマットなのです。実に26年前からの話です。もちろんArcGIS Proも同様です。

もし、「シェープファイルはEsriが作ったフォーマットなので、ArcGISを使う人はシェープファイルを好んで使う」と聞いたとしたら、それはまったくの誤解です。私は仕事で検証するなどのやむを得ない場合を除いて、15年以上シェープファイルを作成したことがありません。

ジオデータベースを知らなかったり、移行する利点が見いだせなくて昔から慣れているシェープファイルを使い続けている人は多いですし、そういう人たちからGISを習ったら、やはりジオデータベースを使うことはないでしょう。

シェープファイルは一つのテーブルにジオメトリ型のカラムを持つシンプルな構造なので、CSVが扱える人ならそれなりに理解できるのに対して、ジオデータベースはその名の通りデータベースなので、最低限のリレーショナル データベースの知識が必用です。

最近、国土数値情報のファイル形式に関する意見募集がなされています。あえて誤解を恐れていうと、

人はシェープファイルを超えられない

のだと思います。この言葉だけが一人歩きするとかなり誤解を与えてしまいますが、あえて煽るコピーを作りました。

意見が述べられるようなGISプロフェッショナルを除けば、多くの人たちは、たとえばExcelは1ファイルに1シートを格納するだけとか、単純な構造のデータで十分な場合だと、シェープファイルは1組のファイルが1つのテーブルなのですごくシンプルなのです。

一方、ジオデータベースはその中にフィーチャクラスを作る必用があり、構造が複雑です。

これからOracleを扱おうとする人は、リレーショナル データベースは必須の知識として学ぼうとするでしょう。しかし、これから汎用GISソフトを操作しようとする人は、データベースの知識が必須なものとは思わないでしょうし、必用と言われたら「GISは難しい」といって貪欲に学ぶことはしないでしょう。

そういうところが、(多くの人が)シェープファイルから脱却できない理由なのだと考えています。

  • この記事を書いた人

羽田 康祐

伊達と酔狂のGISエンジニア。GIS上級技術者、Esri認定インストラクター、CompTIA CTT+ Classroom Trainer、潜水士、PADIダイブマスター、四アマ。WordPress は 2.1 からのユーザーで歴だけは長い。 代表著書『"地図リテラシー入門―地図の正しい読み方・描き方がわかる』 GIS を使った自己紹介はこちら。ESRIジャパン(株)所属、元青山学院大学非常勤講師を兼務。日本地図学会第31期常任委員。発言は個人の見解です。

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