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RECCO という救助用規格

2016/11/21 (月)

先日原宿にあるジャックウルフスキン直営店でウィンドウ ショッピングしたときに気になったものを。

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マムートでスキーウェアを買った後だったけど、ジャックでもスキーウェアに使えるのないのですか?と聞いたら、アイシーストームジャケット(ICY STORM JACKET)というシリーズがあるといって紹介してくれました。

ICY STORM JACKET

値段もそこそこでよさげだと見ていると、背中に、"RECCO"(レコ)と書かれたこんもりした部分が気になりました。

RECCOタグ

店員さんに聞いたら、

RECCO とは遭難現場において、発信装置である『ディテクター(※)』から 915MHz の信号を発信し、発信された信号を『リフレクター(※)』が受信して倍の 1830MHz でディテクターへ返信して遭難者の位置を特定するシステム。1km 離れた位置から 10cm 単位で特定できる能力を持つ端末もある。
※ディテクター:自ら信号を発信し、リフレクターによって送り返される信号を受信する探索機(発信機/受信機)。ディテクターを使用するには、「陸上特殊無線技士3級」以上の資格が必要。
※リフレクター:ディテクターから発信した信号を受信し再発信する応答機。非常に小型でスキーウェア、ブーツ、ヘルメット等に装着される。

参考)【冬山の話】RECCOシムテムについて ~ビーコンとどう違うの?~

ということで、救助用の無線技術の一種と説明してくれました。リフレクターは電池不要で半永久的に電波を反してくれます。

国際的には、スウェーデンにある RECCO AB という団体が規格しています。

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日本だと NPO法人 ACT が普及活動を行っていて、電波を使う関係で総務省から 2015 年に認可を受けて社会実験をしている段階です。

雪山登山やバックカントリーでの定番といえば(アバランチ)ビーコンで、これが 4 万円前後と高額です。命に代わるものはないというけれど、一生に何度使うか分からないものに数万円は正直にお高いなと思っていました。この RECCO はほぼジャケットの値段(少なくともリフレクターがついていないマムートのジャケットよりリフレクター付きのジャックが安かった)だけで購入できるので安いです。ビーコンは遭難した際に付近の人がすぐ捜索に加わることができるというのがメリットですが、過去にバックカントリー ツアーに参加した際に探索技術が難しいと習ったことがあります。RECCO の方がビーコンよりも探索精度も高く、ヘリ捜索のように遠くから周辺一体に電波を飛ばして広範囲で正確に位置が特定できるというメリットがあります。

ただ、リフレクターを搭載したアパレルも国内では出始めたところで 10 社程度、ディテクターを設置している国内スキー場は数カ所とまだまだ少ないです。しかもディテクター本体はサイズが大きいため、登山者が装備品として持ち歩いてパーティーを捜索するのには向きません。

バックカントリー ツアーなんかだとビーコン所持が必須となってますが、捜索はレスキューにお任せ前提でRECCO リフレクターの装備でも参加可になればいいなと思いましたが、普及にはまだ時間がかかりそうです。

私自身も RECCO という存在はお店の説明ではじめて知ったのですが、便利な技術は増えているんですね。

参考情報

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  • この記事を書いた人

羽田 康祐

伊達と酔狂のGISエンジニア。GIS上級技術者、Esri認定インストラクター、CompTIA CTT+ Classroom Trainer、潜水士、PADIダイブマスター、四アマ。WordPress は 2.1 からのユーザーで歴だけは長い。 代表著書『地図リテラシー入門―地図の正しい読み方・描き方がわかる』 GIS を使った自己紹介はこちら。ESRIジャパン(株)所属、元青山学院大学非常勤講師を兼務。日本地図学会第31期常任委員。発言は個人の見解です。

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