あの日見た投影法の名前を僕達はまだ知らない。

      2017/10/28

最近は Webメルカトル全盛期ですが、まだ ArcMap に [ベースマップ] が追加できなかった時代、こんな地図をよく見たと思います。この地図は何の投影法で表現しているでしょうか?

「これは地理座標系でしょう。」と思った方は半分正解。

ArcMap で座標値が経緯度となっている地理座標系となっているデータをマップに追加すると、たしかに上記のような表示となります。しかし、平面のディスプレイ上に地球を表現しているのでそれは何かしら投影されていることになります。

この投影法を「正距円筒図法(Equidistant Cylindrical)」と言います。正距円筒図法は緯度経度が Y軸 X軸で直交し緯度1度と経度1度が同じ長さで表現されるので、地理座標系のデータをマップに表示させた場合と同じ表現になります。

経緯度線を表示

半径 1000km の円を表示すると、赤道を中心にした場合は真円ですが、高緯度へ向かうに従って局側が顕著に歪みます。

半径 1000km の円を表示

日本付近を表示するとこのようになります。

日本付近を表示

この日本を見たら違和感を抱いてください。宇宙から地球を見たような表現となる「投射図法(Vertical Perspective)」で日本を中心に表現すると、日本はもっと南北に長いことが分かります。東北地方も南北に長く、北海道本土の東西長は南北長と同じぐらい(正方形に近い菱形)になります。(拡大図がなくてごめんなさい)

投射図法(日本中心)で表示

ちなみに、ArcGIS Desktop の正距円筒図法ヘルプを見ると、上記の表現が異なっています。これは、デフォルトの標準緯線(Standard Parallel 1)パラメーターが赤道(0)ではないため、緯度と経度の距離比が 1対1 になっていないからです。投影法のパラメーターを調整してください。ArcGIS Pro はバージョン 1.4 時点で投影法のプロパティが変更できないため、事前にカスタムの PRJ ファイルを作成して適用してください。

正距円筒図法は、あえて地理座標系と同じ表現で日本の位置を世界の中心に表示したいときに使えます。データが地理座標系だと日本を中心に表示させることはできません。地理座標系に定義されている標準時子午線の経度を変更すれば一見日本を中心に表示できたように見えますが、これは経度の座標値をシフトする操作となるため、見た目だけ日本を中心に表示するのとは異なる操作です。投影法のプロパティで中央子午線(Central Meridian)を 160 にすると、概ね大西洋で分断された世界地図が表現できます。

そう、僕たちが知らなかったあの投影法の名前は「正距円筒図法」と言うのです。勿忘草の花言葉のように「私(の名前)を忘れないでください。」泣ける話や。

「あの投影法は正距円筒図法」もしくは「例の投影法は正距円筒図法」と覚えましょう。

2017年8月18日追記

「あの投影法」で検索したら 2位になってました。そしたら「例の投影法」でも見つけられるようにしたい。

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