地図で使用される角度の種類(極座標・方位角、真北・磁北・方眼北)

   

北の方角というと北極点の方を指していると思うのが普通かもしれませんが、実は北には真北、磁北、方眼北の 3 種類あります。また、方位を示す角度も数学で学んだ角度の方向とは異なります。ここではその違いについて解説します。

角度の方向

方位や方角を簡単に示すには東西南北を使いますが、より細かい方位は角度で示します。方位で使用する角度は数学で学んだ角度と異なります。数学ではデカルト座標系の X 方向(右)が 0 度で反時計回りに正となりますが、これを単語で何というのかはっきり分かっていませんが、極座標系(polar coordinates system)の一般角と呼ぶこととします。それに対して地図の世界では北(上)を 0 度とした時計回りで示す方位角(azimuth)で示します。

極座標系の一般角

極座標系の一般角

方位角

方位角

さらに、方位角も示す内容によって種類があります。

真北(true north)

北極点を示す方向で、いわゆる真北です。北(方位角 0 度)と聞いてほとんどの人が想像するのがこの真北だと思います。GNSS(GPS)デバイスが示す方位角はたいてい真北を示すはずですが、コンパス内蔵のガーミンなど、一部の機種では場合は真北と磁北が選択できるものもあります。

真北が示す場所(投射図法)

真北が示す場所(投射図法)

磁北(magnetic north)

磁北は高校の地理や地学で習われた方もいると思います。コンパス(方位磁針)が指す北の方向です。方位磁針の N 極はほぼ北を指していますが、厳密には北極点の方向を指していません。コンパスが指す北を磁北といい、真北と磁北の水平差を偏角といいます。偏角は 2010 年時点東京付近で約 7 度で、場所によって偏角の大きさは異なります。また、年々コンパスが北を指す方角も変化しています。私が高校の地学で習った頃は広島で 6.7 度と習った記憶があるのですが、当時より偏角は大きくなっています。さらに、厳密にはコンパスの指す方向は垂直方向にも傾いていて、これを俯角といいます。俯角は 2010 年時点東京付近で約 49 度あります。コンパスで北を調べるときに垂直方向に傾くように見えることはありませんが、これはコンパスのバランスがほぼ水平になるよう調整されているためです。アナログ コンパスだと偏角は調整されていないので、真北を知るにはその場所の偏角を調べて差分を差し引く必要があります。

地磁気偏角(2010年1月1日時点) 国土地理院 Web サイトより引用

地磁気偏角(2010年1月1日時点) 国土地理院 Web サイトより引用

デジタル コンパスだと偏角を調整する機能を持ったものもあるようですが、地磁気の偏角は場所や時期によって異なっており、その大きさは観測によって求められるものを知っておく必要があります。つまり、デジタル コンパスで真北を求めたり、GIS ソフトウェアで磁北を示すには偏角を求めるためのデータベースが必要ということになります。国土地理院の地形図にはその図郭付近の偏角が記載されています。データの閲覧は国土地理院の Web サイトから可能ですが、GIS ソフトウェアで使えるデータは知りません。ご存じの方は教えてください。

参考:国土地理院 地磁気測量

ちなみに、飛行場の滑走路に書かれている番号は磁北による方位角の上 2 桁となっています。

方眼北(grid north)

方眼北とは地図上の真上です。地図にはさまざまな投影法がありますが、投影法によっては地図の上が真北になるとは限りません。地図上の上が真北と一致するのはメルカトル図法のような円筒図法だけなので、実はほとんどの地図投影法では真上が真北とはなりません。

円筒図法では、経線(北極点と南極点を結んだ線)が平行になります。そのため、経線方向が真北を示すことになります。

円筒図法(メルカトル図法)

円筒図法(メルカトル図法)

円筒図法に対して円錐図法、方位図法、擬円筒図法は地図の真上が真北とはなりません。先ほど真北の図で示した投射図法を見ると、地図の左右真ん中では真上が真北ですが、左右両端に行くほど真北が真上ではないことが分かります。しかし、投影された地図では真上が真北なので、下図のように地図の端から方位角 0 度と指定した場合は真北を指しません。投射図法では左右中央に限り方眼北と真北とが一致します。ArcMap で投射図法でマップを表示し、[エディタ] ツールバーから頂点を方位角 0 度として指定すると北極点方向とはなりません。方眼北では真上が真北となります。

方位図法(投射図法)による方眼北

方位図法(投射図法)による方眼北

地形図の UTM 座標系や国土基本図の平面直角座標系で使用されている横メルカトル図法でも真北と方眼北が一致しません。真北と方眼北が一致するのは原点と一致する経度のみです。UTM 座標系のゾーンは原点の経度から東西に 3 度の幅を持っています。日本付近で UTM ゾーンの中心から 3 度東西に離れたところから方眼北と真北の差を求めると 2 度程度の差があります。

UTM 座標系第 54 帯での真北方向

UTM 座標系第 54 帯での真北方向

まとめ

角度には、

  • 極座標: デカルト座標系の X 軸方向が 0 度で反時計回りに正
  • 方位角: 北が 0 度で時計回りに正

の 2 種類があり、方位角には、

  • 真北: 北極点の方向が 0 度
  • 磁北: コンパスで示す真北が 0 度
  • 方眼北: 投影座標系の真上が 0 度

の 3 種類があります。

GIS ソフトウェアで使用される角度は角度を指定する場合は、通常方眼北が使用されます。投影法によっては図上の任意地点で真北が一意に定まりませんし、磁北を求めるには任意地点の偏角が必要になるからです。ただし、地図の投影法が円筒図法(メルカトル図法、ミラー図法、正距円筒図法など)や地理座標系(正距円筒図法と同義)で表示されている場合、あるいは一部の図法の中央子午線上に限り真上が真北と一致します。角度は換算が可能なので、極座標、方位角の切り替えができます。ArcMap なら [編集オプション] から指定ができます。ArcGIS Pro なら [オプション] → [単位] で設定できます。

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